学校の情報環境整備について,最新ニュースを今一度確認しておきたいと思います。
ただ,前提知識として持っていただきたいのは,整備補助金は国が準備してくれているけれども,使うかどうかは地方自治体に決定権があるという現実です。
まず,こちらのエントリー「H21年度補正予算」でもご紹介しているように,国の平成21年度補正予算が可決され,まとまった額の補助金が組まれました。
別のエントリーで「目立つのは電子黒板くらい」と書いてますが,もう少し具体的に書くと,学校関係として組まれたのは大きく「耐震工事関係」「環境エコ関係」「教育の情報化関係」の3つです。
そのうち教育の情報化関係は,地上デジタル放送対応テレビの配置,同対応の電子黒板,教育用および校務用パソコン,これらを対象とした国庫補助金(この目的だけに使える部分補助する予算)と,補助金を除いた残り金額を補助する臨時交付金(ただし,地方判断で他の目的に使用できてしまう予算)が確保されました。
地上デジタル対応テレビは,43.5万台配備
同対応電子黒板は,小中学校に1台ずつ配備
教育用・校務用コンピュータは,195.6万台配備
校内LANは,17.2万室に整備
総額2,087億円
これまでは,補助金と交付金が用意されていても,地方の判断で「学校にパソコン入れるよりも,道路工事に交付金を使いたいね」と他の目的に使用されて補助金も無駄になることが多かったのですが,今回は緊急経済対策という趣旨もあり,学校にパソコンなどを導入して景気を刺激することが強く意識されています(ただし,今回も実際に決定するのは地方自治体なので,本当にこの通り予算消化されるかは分からないのです)。
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さて,予算が計画通りにパソコンに化けてくれるとすれば,学校現場に導入されるパソコンは具体的にはどう選ばれるのでしょうか。
これはそれぞれの地域を営業範囲としている販社や代理店などが仕様書・要求書に対してプランを立て,入札する内容によって決まってくることになります。
この場合,入札のための仕様書は,複数のメーカーが参入できるように「Windows」OSが動作することを前提としたパソコンを条件とすることが普通になってしまいます。たとえば「MacOSX」が動作することを前提条件とすることは,入札の公平性を高める上で大変難しいでしょう。ただし,近年のMacは「Intel Mac」と呼ばれているようにWindowsも動作するため,入札マシンに盛り込むことは可能です。
しかし,多くの業者は,Macを扱うスキルがない(あるいはスキルがないと自分たちで信じ込んでしまっている)ことがほとんどで,国内メーカーとのつき合いもあって,特別な注文がない限り(大学のようにUNIXも扱いたい等),小中学校へのパソコン導入のプランとしてMacを扱う可能性は,ほとんどありません。
これから大量のパソコンが導入されるとなれば,当然,導入されるのは「Windows7」搭載パソコンと考えられます。マイクロソフトとしてはXPのサポートを早く打ち切りたいと考えていますし,だからといってVistaという選択肢は魅力に欠きます。必然的に今後は教員にも「Windows7」の操作技能が要求されるということになりそうです。
ところで,今後,パソコンの導入と校内LAN整備の需要が高まることで,業者の方々も積極的な売り込みを始めてきます。ここで気をつけなければならないのは,業者が,技術力を持っているかどうか,導入後のサポートでしっかり面倒を見てくれるのかどうかを見極めることです。
残念なことですが,世の中には,販売には熱心だが自社には技術サポートの力がない業者,技術力は持っているのだが導入後はほとんど気にかけてくれない業者,勉強不足で何を聞いても苦笑いして話をごまかしてしまう業者,パソコン導入や校内LANを張り巡らしたものの仕様書や配線図を学校に渡しもせず他の業者への引き継ぎを邪魔する業者など,いろいろ困った業者が存在します。
市町村の情報化担当者に業者とのやりとりスキルがあれば良いのですが,担当者になって年月が浅い場合には業者に強く出ることができず,商売言葉で業者に都合よい要求書を書かされ,実際に現場に導入してみたら全く使い物にならないシステムだったということが起こりえます。
業者選びは慎重を期したほうがよく,すでに用意してあるようなテンプレート・プランを勧めようとしたり,「サポートはしっかりやらせていただきます」と言う割りには,事前に現場をじっくりと調査していなかったりする場合は,特に注意した方がよいです。
業者の勉強不足を試すには,「Macでサーバーを立てたいと思うのだけど,資料用意できますか」というように,Macに関する知識をどれだけ提供してくれるか(つまり,業者自身もどれだけ客の要望に応じて商品知識を勉強し提供するのか)を投げ掛けてみるのも方法です。それで嫌な顔するか「うちはMacやってないんですよね」と返事して済まそうとする段階で,サポートも期待できたものじゃありません。そういう業者はWindows7で困っていてもすぐには助けに来てくれません。
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というわけで,先頃決まった補正予算について,その可能性(や業者対応)をご紹介しました。
「なんだ,Windows7なんかが入って結構充実するじゃないか…」とお感じになりますか?でもテレビ,電子黒板,パソコンと校内LANの整備以外には,言及されていません。たとえば,どんなソフトを入れるのか,プリンタ,デジカメ,スキャナは何をどれくらい入れるのか,消耗品や保守管理・サポートに関することも,すべては地方自治体任せ。
子どもたちが1人1台パソコンを自由に使える環境はもとより,新しい情報端末の導入などについては,ほとんど考えられていないというのが現実なのです。